寝具
旅の余韻と共に、心地よい眠りを



心地よい眠りのために
選んだもの
旅先で過ごす夜。日常から少し離れた時間だからこそ、
ゆっくりと身体を休め、心地よく眠ってほしい。
そんな想いから、CHIMAでは寝具にもこだ わりました。
素材や機能、つくり手のこと。ひとつひとつ話を聞き、
実際に寝心地を確かめながら選んだ寝具をご紹介します。
THE ART OF SLEEP

肌に触れるものだから、
できる限り優しくありたい
今回CHIMAの寝具は、素材や構造、機能について知るなかで、自然素材を使ったものを中心に選びました。
現代では肌ざわりや機能性に優れ、日々の暮らしに合わせて使いやすく工夫された寝具もたくさんあります。
そうした選択肢があるなかで、私たちが大切にしたのは、眠っている間の長い時間、肌に触れ続けるものだからこそ、できるだけ身体に優しい素材を選びたいという想いでした。
01|身体の動きに合わせて支えるベッド

ベッドは、オーストリアのRELAX社がつくるRELAX ウッドスプリングを採用しました。ウッドスプリングとはマットレスの下に敷く、寝心地の土台となるもの。今回選んだ「RELAX2000」は、楕円形の木のパーツが、一つひとつ独立して動く構造になっています。身体の曲線や動きに合わせて木盤がしなやかに動き、寝返りもサポート。また、パーツごとに硬さを調節できるのも特徴です。ベッドフレームも無垢材と塗料は蜜蝋、ネジや釘、金具などの金属を一切使用せずにつくられています。木のしなやかさをふんだんに生かしたベッドシステムです。
02|身体の凹凸を受け止める天然ラテックス

マットレスには、天然ゴムを原料とするラテックスを採用しました。特徴は、柔軟で適度な弾力。身体が沈み込みすぎることなく、肩や腰など身体の凹凸に合わせてバランスよく支えます。上下方向だけでなく、さまざまな方向への柔軟性を持つため、ウッドスプリングと組み合わせることで、身体の動きに合わせた寝心地をつくります。
03|汗や湿気を調節するウールのベッドパッド

マットレスの上には、ウールのベッドパッドを重ねています。ベッドパッドは、寝ている間にかく汗や湿気を吸収し、外へ逃がす役割を持つもの。ウールは吸湿発散性に優れており、寝床内の蒸れを軽減してくれます。また、マットレスの弾力を補い、汗や汚れからマットレスを守る役割もあります。身体を支えるマットレスだけでなく、その上に重ねる一枚にも、心地よく眠るための大切な役割があります。
04|横向き寝にも配慮したU字型の枕

枕は、ウールの綿を詰めたU字型のものを選びました。特徴的なのは、横向きになったときに腕を通せる形状。寝る姿勢や好みによって、枕に求めるものも変わります。マットレスの柔らかさや身体の沈み込みによっても適した高さは変わるため、寝具全体のバランスを考えて選びました。
05|肌に触れるリネンのシーツと枕カバー

シーツと枕カバーには、リネンを使用しています。吸湿性や通気性に優れた植物の繊維からつくられる素材で、さらりとした肌触りが特徴です。使い込むほどに柔らかく変化していく風合いも、リネンならではの魅力です。
06|羽毛の軽さを生かす掛け布団

掛け布団は、羽毛を包む生地に綿を使用したものを選びました。カバーにも綿を採用し、朱子織ならではのなめらかな肌触りと光沢が特徴です。羽毛の軽さを生かしながら、身体をふんわりと包み込むような使い心地を大切にしました。
寝具を選ぶまでのこと
今回の寝具選びには、ある旅先での体験が大きく影響しています。
今から5年ほど前、仕事で訪れた宿泊施設で眠った翌朝、驚くほど身体が軽く感じられたことがありました。
それまで枕選びに悩んでいたこともあり、寝具によってこんなにも違うのかと感じたのを覚えています。枕カバーを外してみると、そこには「金澤屋」のタグがありました。
それが、高崎市にある老舗寝具店「金澤屋」との最初の出会いでした。その寝心地が忘れられず、後日お店を訪ねたことをきっかけに、寝具について相談するようになりました。
一方、新潟市にある「眠家 minka」も、身近な寝具店の一つです。金澤屋の寝具をはじめ、センスの良いファブリックも取り扱うライフスタイルショップで、ここで普段使いの寝具を選ぶこともあります。
その出会いから数年後、CHIMAのプロジェクトが始まりました。
宿の寝具となると、揃える数も多く、予算との兼ね合いもあります。ほかの寝具店にも足を運び、さまざまな寝具を試してみましたが、なかなか納得のいくものに出会えません。
そこで改めて、これまでの関わりを通じて、寝具選びの相談をすることになりました。
そのなかで知ったのは、寝具の心地よさは、素材や機能だけでなく、つくり方や組み合わせ、使う人の身体の特徴や好みによっても変わるということ。
例えば枕の高さは、ベッドマットや敷き布団の柔らかさを確認し、身体の沈み込みに合わせて変えることが大切です。
同じ素材でつくられていても、布の重なりが一重なのか、二重なのか、ちょっとした違いで感じ方が変わります。実際に寝具に触れながら説明を聞き、その違いを実感しました。
そうして知るほどに、商品だけでなく、それを選び、届ける人たちの知識、経験の豊かさが寝具選びで大切なのだと感じるようになりました。
寝具の機能や寝心地を確かめることはもちろん大切です。
けれど、最終的な決め手となったのは、良いものを届けようとする人への信頼と共感でした。
どんな人が、どんな考えで寝具を選び、届けているのか。そうした背景も知ったうえで選ぶことが、私たちにとって大切なことだったように思います。
そこで、今回、金澤屋の代表 本木さんと、眠家 minkaの代表 村山さんに、寝具と向き合うなかで大切にしていることや、その背景をお聞きしました。

まずお聞きしたのは、今回CHIMAで採用したベッドシステムについてです。
ほかのベッドとの違いや特徴、実際に使われているお客様の感想、最終的に買う人はどんな人なのか。つくられる背景も伺いました。
オーストリアでつくられたこのベッドシステムの大きな特徴は、木のパーツがひとつひとつ独立して動き、身体の曲線や動きに合わせて支える構造にあります。
パーツごとに硬さを調節できるため、使う人の身体に合わせて柔軟に支え、自然な寝返りをサポートしてくれます。
湖や山、豊かな緑に囲まれたオーストリアでは、自然環境を意識したものづくりが多く見られるそうで、このベッドシステムも、フレームからスプリング、マットレス、塗料に至るまで天然素材を中心につくられています。ネジや釘、金具などの金属は使いません。
金澤屋の本木さんはヨーロッパまで足を運び、さまざまなベッドを探すなかでこのベッドに出会い、つくり手と対話を重ねて、取り扱 いを決めたそうです。
ただ、お二人のお話を聞くなかで、それ以上に大切だと感じたのは、こうした特徴を知ることだけではありませんでした。
体格や骨格、筋肉のつき方、眠る姿勢や好みは人それぞれ。天然素材だから、高価だからといって、誰にとっても心地よいとは限りません。同じ素材を使っていても、そのつくりや組み合わせ、使う人の身体によって寝心地は変わるため、その人に合った寝具を見つけることが大切なのだということでした。
「まずはできればお店に来て、話をすることから寝具選びを始めてほしい。どんな悩みがあるのか、どんな寝心地が好みなのか、そうしたお話を聞きながら、その人に合ったものを一緒に見つけていく。それが専門店の仕事だと思っています。」
話を聞いていく中での、本木さんのその言葉と、横で頷く村山さんの様子がとても印象的でした。
そうなると、お店で取り扱う寝具には、どんなこだわりがあるのか気になります。尋ねると、本木さんは「こだわりなんて特にないですよ」と、少し意外な答えを返してくれました。
自分のこだわりを優先するのではなく、お客様に合った良いものを一緒に見つけること。それが何より大切なのだそうです。
一方、村山さんから見ると、少し違うようです。
本木さんは、使う人を感動させることがとても上手。感動できるものを 見つけてくること、その背景のストーリーを語り、人を感動させることは、本木さんのこだわりなのではないかと話してくれました。
お二人のやりとりからも、長く一緒に仕事をしてきた歴史が垣間見えます。
素材や構造を知り、実際に触れてもらいながら、その人に合うものを見極めていく。お話を伺っていると、寝具を選ぶという仕事は、商品を知るだけでなく、使う人のことを知る仕事でもあるのだと感じました。
ところで、寝具を選ぶのに性別や年齢は関係あるのでしょうか。普段、どんなお客様がお店を訪れるのかも聞いてみました。
最初に寝具に関心を持って来店されるのは、女性のお客様が多いそうです。後からご主人を連れてきて、一緒に選ぶこともよくあるのだとか。
ところが、実際にベッドの構造や寝心地について話を聞き、試してみると、意外にも男性の方が夢中になることも少なくないそうです。
また、同じベッドシステムを使っている他の宿泊施設では、宿泊をきっかけに寝具を購入される方も多いとのこと。購入される方の年齢もさまざま。性別や年齢を問わず、実際に体験することで、その良さに気づく人がいるようです。
人によって心地よいと感じるものは違います。それでも、選び抜かれた寝具の良さは、多くの人を感動させるのかもしれません。
身体に合わせて、寝心地を整える

けれど、寝具について日頃から意識する機会は、意外と少ないかもしれません。
毎日身にまとう洋服は、デザインや素材にこだわり、暮らしの中で自分らしいスタイルを楽しむ人も多いはず。同じように、毎日の暮らしに欠かせない寝具にも、もっと目を向けていいのではないか。そんな考えから、寝具の魅力を伝えているのが、新潟市にある「眠家 minka」です。
洋服が自分らしい日常をつくるように、寝具もまた、日々の暮らしを支える大切なもの。
洋服をきっかけに寝具にも触れ、これまで寝具をあまり意識したことのない人も関心を持って、眠りを見つめ直す機会になれば。良い寝具を伝えることで、日中の活力や暮らしの豊かさにもつながってほしい。そんな思いが、眠家 minkaの店づくりには込められているように感じます。
店内には洋服や寝具だけでなく、タオルや日々の暮らしに使うファブリックも並びます。デザイン性の高さはもちろん、肌に触れる素材にも心配りが感じられ、商品を眺めてい ると、まるで、暮らしそのものをコーディネートしているよう。見た目の美しさと使い心地、その両方を大切にする村山さんのセンスが伝わってきます。
もともとアパレル業界で仕事をしていた村山さんは、初めて金澤屋の寝具に触れたとき、大きな感動を覚えたと言います。自分が良いと感じたものを、もっと多くの人にも知ってほしい。その感動を、今度は新潟市で伝えていきたい。アパレルの世界で培ってきた経験を生かしながら、寝具の魅力を暮らしの中へと届けています。
長年寝具を専門に扱ってきた本木さんも、村山さんの取り組みに新たな可能性を感じたと言います。洋服の素材や生地を知り尽くした村山さんだからこそ、これまでとは違う角度から寝具の魅力を伝えられる。寝具の世界に新しい広がりが生まれるのではないかと、期待を寄せていました。
良いものに出会うと、その良さを誰かにも伝えたくなる。
そこには、自分が感じた心地よさを分かち合いたいという気持ちや、使う人にも心地よく過ごしてほしいという、つくり手や届け手に共通する思いがあるのだと思います。
その想いが人から人へとつながり、また誰かの暮らしを豊かにしていく。
CHIMAの寝具選びは、そんな人たちとの出会いの物語になりました。
寝具の魅力を、もっと身近に

金澤屋と眠家 minka、そしてCHIMA。
それぞれ異なる背景や役割を持ちながら、寝具を通して心地よい眠りを届けたいという思いは共通しています。
今回、お二人から聞いたお話や、寝具を届けるまでの背景を知ることで、私たちが選んだ寝具にも、また違った意味が生まれたように感じています。
寝具選びを通して生まれたこの街の新しい物語も、旅の余韻となり、懐かしく、温かな時間に包まれるような心地よい眠りをお届けできれば、嬉しく思います。
旅の途中、もしも気が向いたら、この物語を携えてお店に訪れてみるもの良いかもしれません。
それぞれの場所から、眠りを届ける
